日本人の生きてきた、そしていまも生きている枠組の正体は「世間」というものなのだという見方があります。
江戸時代を例に採れば、田畑へひく水に不公平のないよう、農村では村人を掟でひとつにまとめ、村の掟を破る者がいれば村八分にして村を守りました。
つまり、秩序を守るために同質であることを維持しようとするのが世間なのです。歴史学者の阿部謹也さんは「世間」には5つのルールがあることを明らかにしています。
①年上がえらい
②同じ時間を生きることが大切
③贈り物が大切
④仲間外れを作る
⑤ミステリアス
身の回りで起こっている「今どきの世間の出来事」といって思い浮かぶのは、
相撲界のかわいがり
親と子の共依存
社宅のマウンティング
部活の連帯責任
なんと小学生にもスクールカーストがあって、裏LINEという恐ろしい世間があります。
大学生の就活には黒のリクルートスーツ以外はNGというご法度があって、はたから見るとそこまで同じであることもないだろうにと思いますが、やはりその中に個性的に過ぎる学生がいたら私だって落とすかもしれないと思うのですから、これも世間です。
「理由」はどうであれ、「理屈を越えた」もの 「そうしないといけない」ものが世間です。日本人は世間を知っているおかげで、とても親切で共同体をまとめ上げる互助や共感力に長けています。
けれども、赤の他人に心は開きません。エレベーターでじっとドアの上の数字を見つめ、知らない人と目を合わせない。知らない人に声をかけて席をゆずることは苦手。そうかと思うと知らない人にこそキレ易かったりして、没個人で自尊意識の低い面が垣間見られます。
八百万の神さまや一神教は、人に自尊意識をどう説いてきたのか。仏教や密教はこんな世間をどう捉えてきたのか。日本人は「世間」に生きてきたという視点に立つと、慈悲にはどのような問いが生まれるでしょうか。
10月の禅×経営学は、社会と世間のダブルスタンダードを生きる日本人の慈悲について考えてみます。
仏教では迷いの生存状態にある世界を「世間」といいます。「世間」の束縛から解放され、迷いから脱したとき、そこにはどのような風光が広がっているのでしょうか。そして、世間を脱し「出世間」へ向かうために、慈悲はどんな役割を果たしてくれるのでしょうか。今回もご一緒に慈悲を探究して参りましょう。
2019年10月4日(金)
「慈悲」世間の認識と解放に向けて
時 間 18:30から21:00
定 員 10名程
会 場 自由が丘駅徒歩3分
参加費 ¥8.000(ペア割¥7.000)
¥6,000(リピーター)
申込み
①着金順に申込完了となります。
②定員までに着金がなかったときはキャンセル扱いとなります。
③参加費の返金振替は行いませんので、ご了承ください。
お江戸百年塾
吉野真由美
株式会社ENSOU 代表 ・博士(経営学)・神奈川大学経営学部国際経営学科講師・株式会社ジェイフィール コンサルタント
1988年ニッカウヰスキー株式会社入社、営業にてトップの業績を残した後、アサヒビール株式会社のコンサルティング会社の設立に参画、コンサルタント育成体制を構築。現在は“いのちが喜ぶ経営”をテーマに活動。自覚の方法論として東洋の智慧、特に禅の基本テキスト「十牛図」に着目。内省と対話を鍵にマネジメント·コミュニティを中核とした組織開発、個の可能性の開花にアプローチするワークショップを展開している。2010年から始めたファシリテーター養成講座は修了生が350名を越え、学習するコミュニティを継続中。カナダのモントリオールで行われたグローバルカンファレンスREFLECTIONS 2017では、世界20カ国の参加者に「禅とマネジメント」を発信、話題を呼んだ。趣味は瞑想と気功。禅と経営学、一見遠い存在の二つの探求を道楽にしている。
所属学会 日本経営診断学会、日本マネジメント学会、戦略研究学会他 。